2021.06.09 渋峠
渋峠、自転車に乗る人にとって特別な場所です
群馬県と長野県の境に位置し、国道292号線の最高地点にあります
その標高は2172m、日本の国道では最も高い場所になります
毎年11月から 4月まで積雪により冬期閉鎖されています。しかも昨年は火山活動が活発化し夏季も閉鎖されていました
今年はそれも解除され SNSに景色テロと呼ばれる渋峠の画像が多数アップされました。 5月初旬までは雪の回廊と呼ばれる道を進むことができます
そんな景色テロの被害にあい、今回のチャレンジを思いつきました
草津は現在、渋峠にアタックする最後の補給ポイントです。宿でしっかり準備を整えます
大浴場が朝から入れたので、体をほぐしました
ここから先は20kmのヒルクライムが始まります
出発は 8:30、草津は標高が1000mを越えているので少しひんやりします。ヒルクライムで体が熱くなるのでちょうどいいです
スタートするとすぐにヒルクライムらしい景色が広がってきます。木漏れ日が光のシャワーのように感じられます
青く色づいた木々、心地いい虫の音、夏が近づいているのを教えてくれます
昨日の草津町までの10kmのヒルクライムは斜度もきつく大変でしたが、ここからはそれも緩くなり比較的上りやすくなります
弾む鼓動と流れる汗がヒルクライムの楽しさを教えてくれます
とは云っても殺生河原付近になるとだんだんつらくなってきます
渋峠は活火山帯であり、硫黄などの有毒ガスが発生する地帯があります
殺生河原は停車し続けると文字通り死んでしまうので、ペースを乱さず上ります
その辺りを越えると景色がまた変わってきます
樹木が少なくなり虫の音も聞こえなくなります
所々レストハウスがあり、本来であれば休憩スポットなのでしょうが現在は新型コロナウイルスのためか封鎖されています
トイレも封鎖されているので補給や休憩も含め考慮が必要です
オートバイやロードバイクの人が多くいました
平日なのにとても人気のスポットです
森林限界も近づき、別世界のような景色に出会えました。遠くに見える草津の町もここまで上ったんだと感じさせてくれます
雪の回廊は見られませんでしたが、とても見通しがよく、好天に恵まれたので景色を堪能できました
そしてついに渋峠山頂に到着!
しかも横須賀から自走でチャレンジしているので、見える景色も感動も格別です
ここから少し先に渋峠ホテルがあり国道最高地点到達証明書を発行してくれます
が、まさかの休業。次に来る楽しみができたと思うことにしました
標高が2000mを越えると地表とは12℃気温差があります。しかもここからは30kmのダウンヒルが始まりますので用意してきた冬装備を着込みます。アウターとグローブ、ロングパンツ、ネックゲイターと完全な冬装備です
持ってきて正解でした。夏の昼間でも体の芯まで冷えるのに時間はかかりませんでした
ダウンヒルは色と音が失われた景色が徐々に色を取り戻し、地面から木々が生え、虫の音が聞こえ、生命を取り戻していく様が神秘的でした
帰りは長野原草津口駅から輪行しました
高崎駅と東京駅で乗り換えて横須賀を目指します。東京からは高層ビル群と満員電車で、もう先ほどまでいた渋峠が恋しくなりました
横須賀駅は輪行スペースと空気入れもあり自転車に優しい駅です
いつも見ている横須賀の海に着くと無事に着いた安堵感と、旅のすばらしさがこみ上げてきました
少し早いですが大切な夏の思い出ができました
何の気なしに買ったおみやげに大嘘が
ゆったり のんびり やすらぎの旅
ではありませんでした